マンションの庭 |おうちの庭

2012-05-19更新
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マンションの庭
「自分の庭なんだから、もしも洋風のガーデニングとかやりたいつもりがあるんなら、早めにそう言った方がいいよ」姉らしい気の回し方だった。「うーむ」と電話口で吃る。私もまだ、マンションの庭はどういうものか、住人どうしの間でどのような位置付けになっているのか、わからぬうちから、木の引っ越しの話が先行して進んでいることに、とまどいを覚えなくもなかった。かと言って、自分が三十三平米をどうしたいという、明確な構想があるわけでもない。「いいわ。自分ではそんな、庭なんかまめにしないだろうし。持て余して草ぼうぼうにするよりは」日頃から親に対して同居の義務も果たしていない。それで親の楽しみになるのなら、ささやかな罪滅ぼしもできようもの。入居先の「管理規約並びに使用細則」を熟読した。「管理規約」も「使用細則」も、契約のとき渡されるもので、前者には、管理組合の役割とか、管理費を集めること、共有部分と専有部分はどこからどこまで、といったことが定めてある。後者は共有部分と専有部分の使い方についての取り決めで、こちらはぐっと具体的だ。「管理規約」によると、庭は私の「所有」ではなく、所有権はあくまでも住人から成る管理組合にあって、私は月々の使用料を払い、「専用使用」権を認められるに過ぎないらしい。
専用庭の使用細則
「使用細則」で、してはならない行為として、挙げられているのが、「専用庭にサンルーム、温室、池およびこれらに類する建造物を構築または設置すること」。つくばいは「池」に類するのか。「他の居住者に迷惑または危害を及ぼすおそれのある動植物を飼育、研究すること」。うちの木は、毒性のものはないから「危害」は及ぼさないと思うけれど、落ち葉が飛んだりするのは、「迷惑」と言えば言える。「突風、強風の際、飛散または落下等他に害を及ぼすおそれのあるものを放置すること」。これも落ち葉があてはまるかどうか。禁止ではないけれど、事前に組合に届け出て、承諾を得なければならないこととして「敷地の造園、土砂の搬入、掘削等、現状を変更すること」。うちの庭ほどのも「造園」か。マンションそのものがはじめてなので、どこまでが許容範囲か、行間から読みとるための常識的なベースがない。引っ越す前、住んでいる人に聞いてみることにした。売り主さんが、両どなりと上の人に私を紹介する目的も兼ね、お茶に招いてくれたのだが、そのときも、庭の件は、重要課題として、胸の内に抱えていった。

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